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複屈折板・波長板を用いた光学ローパスフィルタ―

2017年8月

モアレを生ずる高周波成分への対策

デジタルカメラの撮像素子は、網戸のように微小な画素が縦横に規則正しく配列されています。
そのため、レンズに入力された画像に微細なコントラストがあると、網戸越しに縞模様を見たような干渉縞(モアレ)を生じます。

撮像素子の構造上、ナイキスト周波数を超える高周波成分の折り返しによるエイリアシングは原理的に避けることが出来ません。
しかし、一旦入力された偽信号を識別・除去することは難しいため、撮像素子に入射する前に対策する必要があります。
ここでの周波数とは、微細な縞模様のような空間的な周期性を差す空間周波数を意味します。

図1 空間周波数の概念図

多くの場合、レンズの解像度はナイキスト周波数に対して十分に高いため、偽信号を抑えるためには別の光学部品が必要となります。

そこで、画素ピッチ(P)に合わせて、あえて入射光を微小に二重化(ダブリング)させることで高周波成分を滑らかにする技術が光学ローパスフィルターです。
標本化定理によれば、入力信号の周波数はサンプリング周波数の1/2以下が望ましいとされるため、光学ローパスフィルターは最適なソリューションとなります。


水晶の複屈折性

光学ローパスフィルターの材料として用いられる水晶は、一軸性結晶であり複屈折性を有しています。
光学軸が光軸に対して一定の角度を持つように水晶を切り出すと、常光線および、入射角度に依存した屈折率で結晶内部を進む異常光線に分かれます。

この角度を45°とすると、常光線と異常光線を同じ強度で分離することができます。
分離した常光線、異常光線は媒質中を直進しますので、その分離幅(D)は板厚(t)に比例します。
従って板厚を制御することで、前述のダブリングを最適に達成することができます。

ただし、撮像素子は縦横の二次元であるのに対し、上記方法では一次元にしか分離できないという問題が生じます。
そこで、直交方向に再度分離させ、一点の入力から四点の出力を得るようにします。

図2 複屈折板の原理

偏光を変換する波長板(水晶)

水晶を通過して分離した光の偏光状態は直線偏光となります。
この状態では複屈折性を利用して再度分離することができません。
そこで一旦、波長板を通して円偏光に変換します。

光が波長板を通過すると、偏光成分ごとに伝搬速度が異なるため位相差を生じます。
直線偏光から円偏光への変換には、位相差をπ/2ずらすことが出来る1/4波長板が用いられます。
ゼロオーダー波長板は、1/4波長(可視域では100nmオーダ)を一枚の波長板で達成するものです。
この場合、板厚が15μm程度となるため加工が困難です。
図3 ゼロオーダー波長板

そこで、2π x n倍 では位相差を生じないことを活かし、位相差を2π x n倍 + π/2ずらす板厚で同等の効果を得ることが可能です(マルチオーダー波長板)。
例えばn = 3 とすれば6.5πとなり、上記の13倍の板厚で製作することが可能になります。
図3 マルチオーダー波長板

このほか、光学軸が±45°で直交するよう接合すると、2枚の水晶の厚みの差により同等の効果を得ることが可能です(コンパウンドゼロオーダー波長板)。
なお、複数の材質を組み合わせて、波長依存の位相差のずれを低減するアクロマティック波長板も実用化されています。

これら複屈折板、波長板に赤外吸収板(IRカットフィルタ)を組み合わせて、光学ローパスフィルターが製作されます。

図5 光学ローパスフィルタ―構成例


二次元のダブリングという光学ローパスフィルターのユニークな特性は、従来のモアレ低減の目的以外にも応用が可能です。
弊社では数多くの実績がございます。光学ローパスフィルターはもちろん、波長板単体でも多様なご提案が可能です。
お気軽にお問い合わせ下さい。

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