シランカップリング剤のご紹介
※掲載のデータは発表時点のものです。ガラスや金属の基板の表面改質には、蒸着だけでなく、化学反応を伴ったプロセスも用いられます。
例えば、無機基板の表面に撥水性・撥油性を有する有機薄膜を形成することができます。
こうした処理に広く利用されるシランカップリング剤についてご紹介します。
シランカップリング剤とは
一つのケイ素原子を含む単体(モノマー)の有機ケイ素化合物をシランと呼びます。有機ケイ素化合物中でのケイ素原子は4価で、炭素と同じく四つの「手」を持っています。シランカップリング剤の化学構造はX-Si(OR)3です。
一つのケイ素原子(Si)が四つの「手」により一つの有機官能基(X)、三つの加水分解基(OR)と結合しています。
有機官能基が有機素材と、加水分解基が無機素材とそれぞれ化学反応することにより、有機と無機の橋渡し(カップリング)をする性質を持っています。
ガラス基板の場合、加水分解基としてはアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)が一般的です。
有機官能基と加水分解基の組み合わせにより、様々な材質や用途への展開が可能です。
カップリングのメカニズム
加水分解の過程で加水分解基から生ずるOHとケイ素がシラノール(Si-OH)基を生成します。シラノール基は無機素材のヒドロキシ(-OH)基と水素結合して表面に定着します。
さらに脱水縮合反応が生じ、強固な共有結合で無機物表面に密着します。
同時並行的に残りの二つのシラノール基が隣同士でシロキサン(Si-O-Si)結合し、機械的強度・化学的安定性に優れた層を形成します。
このように優れた密着性を持ちつつ、有機官能基が外側を向いた状態(配向性)で無機素材を覆うことも特徴的です。
有機官能基に他の有機素材を化学反応させて、無機物と有機物の接着助剤として機能させることもできます。
シランカップリング処理の応用
シランカップリング剤の応用分野は、有機樹脂へのフィラー(粉体)のコンパウンドや、フィラーのコーティングなど多様ですが、表面改質の用途でもいろいろな応用が考えられます。-
- ■金属薄膜の防錆処理
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- ■自己組織化単分子膜(SAM)